あらゆる人と映画の楽しみを分かち合う<前編>

~「シネマ・チュプキ・タバタ」~

目や耳に障害のある人、車いすの人、子育て中の人など、どんな人も安心して映画を楽しめるユニバーサル(誰もが利用しやすい)シアター「シネマ・チュプキ」。どのように作られたのか、またどんな設備があるのか、見学してきました。

 

シネマ・チュプキ・タバタのエントランス

 

設立資金はすべて寄付で賄った

2016年9月にオープンしたシネマ・チュプキ。「チュプキ」とはアイヌ語で、月や木洩れ日などの「自然の光」を意味しています。床には人工芝を敷き、屋内にいながら野外上映を味わっているような、自然と一体となって、リラックスできる空間が演出されています。

 

設立資金はSNSやインターネットを活用して寄付を募って賄いました。小さい建物ながら、車いすでそのまま入れる設計になっています。

 

入口すぐの左の壁にそびえるチュプキの樹の葉には、寄付をしてくれた支援者の方々の名前が書かれています。代表の平塚千穂子さんは、「ユニバーサル建築の知識がある方を紹介していただき、設計を依頼しました。内開きの扉を引き戸にするだけでも、車いすが入れるようになる。ちょっとした工夫があれば、いろんな人に来てもらえるんです」と言います。

 

要望があれば駅まで迎えに行くそうなので、サポートが必要な方は訪れる際に予約を入れた方が安心です。

 

「予約された視覚障がい者の方がなかなか来ないので心配していたら、近所の方が連れてきてくれたこともあります」“どんな人も安心して”行ける映画館です。

 

 支援者の名前が書かれたチュプキの木の葉

 

支援者の名前が書かれた葉。よく見ると、有名な映画監督や俳優の名前もあります。

 

個人のニーズに合わせて調整できる音声ガイド

映画館の床は人工芝なので、盲導犬も心地よく過ごしているそう。上映前には、映像と音で森の一日を表現。朝は鳥のさえずり、夕方にはカエルの鳴き声が聞こえる、自然豊かなイメージを演出しています。

 

全席に、映像の内容を言葉で説明する音声ガイドのイヤホンジャックを搭載。「ご自身のイヤホンを差し込めばご利用いただけます。左右の耳それぞれの音量調節もできますし、映画の音だけを聞くこともできます」

 

有線なのでノイズが入らず、個人個人のニーズに合わせて使い方を調整できるのが利点です。

 

また、聴覚障害の方のために、抱きかかえるスピーカーの貸出もしています。振動で映画を“体感”できるのが好評です。そして、全作品日本語字幕付き。

 

「障害のある方が一番疎外感を感じているのは、映画を観ながらみんなが笑っているときに一緒に笑えないこと。ここに来て、みんなと笑えたのが感動したと言ってくださいます」

 

座席に取り付けられた音声ガイドコントローラー

 音声ガイドと映画の音、自分の聞きたいものを聞きたい音量で周囲を気にせず聞くことができます。

 

お子さん連れの方にもやさしい映画館

ユニバーサルシアターとして、赤ちゃんや小さいお子さんをお連れの方にも門戸を開いています。そのための設備が「親子鑑賞室」。子どもがぐずったり泣いたりしたときは、完全防音のこの部屋に移動することができます。カーテンを開けた窓からスクリーンが見え、親子水入らずで映画を楽しめます。

 

「音声ガイドの普及が進んで、今では『妖怪ウォッチ』のようなメジャーな作品も音声ガイド付きで親子で楽しめるようになっています。視覚障害を持つお母さんが『音声ガイドのおかげで、子どもと映画の話ができるようになって嬉しい』と喜んでらっしゃいました。シネマ・チュプキでも子どもと映画を楽しんでいただけるように夏休みにはアニメ特集をする予定なので、この部屋も活用してもらいたいと思います」

 

後編は、設立までの思いやお客さまの反応などについて、代表の平塚さんにお聞きします。

 

親子鑑賞室の様子 

小さいながらも、ベビーカー1台と大人一人が十分に入れるスペースです。

 

 シネマ・チュプキ・タバタ 
「日本一小さくて、日本一やさしい映画館」としてオープンしたユニバーサルシアター。運営母体は「バリアフリー映画鑑賞推進団体City Lights」というボランティア団体。

全作日本語字幕・音声ガイド付きで上映。10:0023:00の営業で、水曜日定休。

JR山手線「田端駅」北口から徒歩5分

住所:東京都北区東田端2-8-4
電話&FAX:03-6240-8480

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