“白杖=全盲とは限らない”ことを知ってほしい

~白杖の天使「はくたん」誕生秘話~

白杖に羽の生えた、ちょっとコミカルなキャラクター「はくたん」。「はくたん」は白杖やロービジョンへの正しい理解を促すためにうまれた白杖のキャラクターで、SNSによって次第にその存在が知られるようになり、シールやストラップなどで展開されています。

 

「はくたん」はどのようにしてうまれ、どのような思いが込められているのか。クリエーターの伊敷亜依子さんにお話をうかがいました。

 

「見えてるくせに」という誤解をなくしたい

疾患によって目が見えにくくなった伊敷さんは、ツイッターで多くの人たちとやりとりをしています。

その中で、白杖を持つロービジョンの人たちがこうつぶやくのを目にするようになりました。

 

“スマホを操作していたら、『なんだ、見えるんじゃん』と嫌味を言われた。” “白杖を手に持って歩いていたら、『見えているくせに、杖なんか持って』と言われた。”

 

「私にも同じような経験がありました。白杖=全盲と思っている人が多いようですが、白杖は目の見えにくい、ロービジョンの人も持っているものなんです。その誤解を解きたいと思いました。」(伊敷さん)

 

SNSでは、人が意見を発信するとトラブルになることがあり、個人情報を探られて攻撃される可能性もあります。そこで伊敷さんは考えました。「キャラクターを作って、それに代弁してもらおうと。キャラクターが言うことなら、受け入れてもらえると思ったんです。」

 

「白杖=全盲とは限りません」と書かれた「はくたん」。シールは白杖に貼り、ストラップはカバンなどにつけてアピールします。

 

見た目に分かりにくい障がいだから、「はくたん」が必要

2015年10月、試行錯誤の末にデザインが完成。「見てかわいいのと、ちょっとユニークな感じにと心がけました。」(伊敷さん)

 

ツイッターにアップすると、「かわいい!」「ほしい!」など、すぐに反応がきました。「はくたん」を応援する人が、シールにしたりストラップにしたりと協力してくれて、「はくたん」は多くの人に知られるようになりました。

 

「『はくたん』を身につけるようになってから、お店に入るときの店員さんの態度が変わりました。やっぱりキャラクターの力は大きいんだなと、私自身も感じています。」

 

「はくたん」は2種類、「白杖=全盲とは限りません」と「キケンなときはおしえてください」があります。

 

「白杖を持っていても、後ろから見ると視覚に障がいがあるとわかりにくい。「はくたん」を見かけたら、後ろから車が来たりしたときは、『あぶないですよ』と一言声をかけてもらえたらと思います。」

 

ロービジョンは困っていることが伝わりにくい障がいだからこそ、「はくたん」の存在が心強いのです。

 

子供のころから絵を描くことが好きだったという伊敷さん。「『はくたん』がこんなに知られるようになったのは、みなさんのおかげです。」

 

白杖を使う人の意識も高めていきたい

白杖を持つことについては、視覚障がいのある当事者も正しい知識を持たなければと伊敷さんは考えています。

 

「白杖を使った歩行訓練を受けていない人の中には、白杖を振り回したり、突き出して『道をあけろ』と言ったりする人がいるそうです。誤解を受けてしまうのはそういう理由もあると思うので、正しい使い方を理解してもらうためにも、『はくたん』が役に立てればいいですね。」と話します。

 

伊敷さんの周りには、嫌味を言われたくないから外出するときには白杖を持たないという人や、白杖を持つときは目をつぶって全盲であるようにふるまう人もいます。

 

「『白杖を持って見えないふりをしている』と言われることがありますが、ロービジョンの人は『見えないふり』をしても何の得もない。白杖を持っている人がいたら、少し気にして一声かけてもらえるとうれしいです。」(伊敷さん)

 

白杖は、平衡感覚が低下している人や、聴覚障がいのある人も持つことができます。目の見えにくい方も、耳の聞こえにくい方も、すべての人が少しでも暮らしやすくなるために、「はくたん」が活躍します。

 

はくたんツイッター:https://twitter.com/hakutan8888

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