視覚障がい者のホーム転落事故を防ぐ取り組み

~国を挙げてホームドアの普及を進める~

2016年、東京メトロ銀座線青山一丁目駅と近鉄大阪線河内国分駅で、視覚障がい者がホームから落ちて電車にはねられるという痛ましい事故が起こりました。このような事故を繰り返さないために、国土交通省によるホームドアの設置が進められています。

 

ホームドアと内方線付き点状ブロックの設置を加速

国土交通省によると、2015年3月末時点で利用者10万人以上の駅でホームドアが設置されているのは260駅中82駅。未設置の駅で整備条件が整っている駅については、原則2020年度までに整備することになりました。整備条件を満たしていない駅については、概ね5年をめどに新型のホームドアの整備に着手します。

 

また利用者10万人未満の駅についても、優先的な整備が必要と認められる場合はホームドアを設置します。 視覚障がい者がホームの内側を認識しやすい「内方線付き点状ブロック」については、利用者10万人以上の駅では概ね整備済みとなっており、1万人以上の駅では2018年度までに整備することにしています。

 

このようなハード面については、期限を明確にすることで整備の加速化を図る取り組みがなされています。

 

 

 

視覚障がい者への具体的な声掛けとサポートの強化

一方、ソフト面については、駅員による対応が強化されます。ホームドア未設置の駅については、駅員は視覚障がい者の案内誘導をします。「危ないですよ」や「下がってください」というアナウンスでは視覚障がい者が自分のことだとわからないということもあり、直接「ご案内しましょうか」という声掛けを積極的にしていくことになります。

 

一般の乗客に向けても、視覚障がい者に具体的にどのような声掛けをし、介助をするとよいかの方法を伝えることで視覚障がい者へのサポートを促進します。

 

また歩きスマホを禁じ、視覚障がい者の歩行を阻まない、点字ブロックの上に立ち止まらないなど、迷惑行為をしないよう啓発していくことになります。

 

ハード面整備までの間にやるべきこと・できること

駅での転落事故を防ぐためには、ホームドア設置といったハード面の整備が必要であることは当然です。ですが、国交省の資料からもわかるように、整備が整うのは数年後。一朝一夕に解決できる問題ではありません。

 

そのため、「多角的な対策」の必要性を唱えているのが、成蹊大学理工学部教授の大倉元宏氏です。大倉氏は1974年から2016年に起きた視覚障がい者の転落事故のうち、14件について聞き取り調査をしたところ、視覚障がい者がホーム上で障害物などを避けた際に方向感覚を失ったことが原因である事故が多かったと指摘します。そのため、視覚障がい者の行動・保有視覚・普段と異なる特殊事情などさまざまな視点で事故を分析することを提唱しています。

 

そして、やはり事故を防ぐために欠かせないのは健常者のサポート。駅員はもちろんのこと、すぐ近くにいる人が声をかけて手をさしのべるだけで防げる事故もたくさんあるのではないでしょうか。 ホームドアの設置とともに「心のバリアフリー」を進めていくことが求められています。

 

引用元: 国土交通省「駅ホームにおける安全性向上のための検討会 中間とりまとめ」

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