生活を安定させ、人とのつながりを生み出す<前編>

~東京視覚障害者生活支援センター 前編~

東京視覚障害者生活支援センター(以下、支援センター)は、目の見えない方、見えにくい方の生活や就労をサポートする事業所です。

 

東京視覚障害者生活支援センター外観
 

社会生活を支える「就労移行支援」

支援センターの柱の一つは、就労移行支援です。新規就労を目指す方や就労を継続したい方のサポートを行っています。

 

生活支援員の中津大介さんは、次のように話します。

 

「大きく分けると、一般事務職としての就労支援と、あんまやマッサージ等の資格を持つ方の就労支援がありますが、基本的にはどちらもパソコンのスキルの習得を目指していきます。マッサージ等で就労する場合でも、電子カルテや情報共有にはパソコンが必須なのです。 さらに、マッサージ等で就労を目指す方については、実際に施術の時間も取り、マッサージの国家資格を有する職員が指導にあたっています」

 

また、パソコンの技術習得と合わせ、就職が決まった場合の通勤経路の安全確保や社内の移動等のための歩行訓練も行います。

 

「一般の就労移行支援事業所には、多くの場合、歩行訓練士はいませんので、こうした、歩行訓練のできる就労支援担当者がいることは、当センターの強みでもあります」(中津さん)

 

日常生活の総合的な訓練を行う「機能訓練」

もう一つの支援センターの柱、日常生活の訓練を行う機能訓練では、白杖を使った歩行訓練や、点字の読み書き、パソコンの操作等を行うコミュニケーション訓練、調理や掃除などの日常生活動作の訓練が行われています。最近では、これらに加えてロービジョン訓練(※1)も積極的に行うようになりました。

 

実際に、機能訓練を見学させていただきました。まず、目の見えにくい男性の最寄り駅での歩行訓練です。

 

一人で支援センターに通う際の、歩行経路の安全性を高めるために実施していますが、今回は、まず白杖を使用しての階段の上り下りを行いました。

 

白杖を活用することで、段差の確認ができ、安全に移動することができるようになります。さらに、頭の中に駅の構内の地図を描き、曲がり角や改札口の目標等を確認していきます。
 

白杖の活用

 

訓練時間が終わる頃には、階段は手すりを使用しなくても利用できるようになってきました。地理もかなり理解でき、男性の表情は開始前に比べると明るくなりました。

 

きることが増えると自信につながる「パソコン訓練」

次に、パソコン訓練を見学させていただきました。教室には6~7人の利用者がいて、それぞれノートパソコンの前に座ります。

 

3名の職員が付き、音声教材も利用しながら訓練を進めています。「それぞれの方の習熟度が異なるので、音声教材も併用しながらの訓練は有効です。」(中津さん)
 

音声教材も併用しながらのパソコン訓練

 

分からないことは、その都度聞きながら、自分のペースで進めていきます。


「見えなくなり、疎遠になっていた人たちに、パソコンを使って作った年賀状を送り、また縁が復活したという方もいます。できることが増える、人と交流できるということは、自信につながります。」(中津さん)

 

昨今では、スマートフォンやタブレット端末についての相談も増えています。支援センター利用者の6割くらいの方が使っているそうで、アプリの使い方なども、希望に応じて紹介しています。


「視覚を補完する機器を使うだけでも、楽に生活ができるようになります。楽をすることは怠けることではなく、いいこと。その分、生きるエネルギーを他のことに使えるのですから」(中津さん)

 

見えなくなった、見えにくくなったとき、リハビリテーションの一環として支援センターを利用してみてはいかがでしょうか。

 


国内で視覚障害を専門とした就労移行支援を行っている団体は、支援センターの他に東京と大阪に1カ所ずつあります。

 

また、各都道府県の職業能力開発校などでも、視覚障がい者の就労に関する相談や訓練を受け付けています。

 

機能訓練を行っている団体は、支援センターの他に、埼玉に3カ所、北海道、神奈川、愛知、大阪、兵庫、京都、広島、福岡に1カ所ずつ、視覚と知的の重複障害を対象とした施設が東京に1カ所あります。(2017年9月現在)


詳しくは、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にお問い合わせください。

 

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後編はこちら

 

東京視覚障害者生活支援センター


1983年に東京都が設置し、日本盲人社会福祉施設協議会が運営してきた多機能型事業所。2017年4月から、同法人に民間移譲されました。日中(通所)のサービスを提供しており、施設の見学会や訓練の体験会も定期的に行っています。


2017年7月現在の登録者数は80名。障害者手帳の受給者、または難病指定の方が対象で利用料は一日1,000円、住民税非課税の方は利用料がかかりません。

 

住所:東京都新宿区河田町10-10
電話:03-3353-1277
FAX:03-3353-1279

 

(※1)ロービジョン訓練:文字を拡大して見るための機器や、眩しさを軽減する眼鏡などを紹介する訓練

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