視覚障害で悩む人たちの“灯台”になる

~社会福祉法人京都ライトハウスレポート~

 

京都駅からバスで40分ほどのところに、視覚障がい者総合福祉施設「京都ライトハウス」があります。創立は、昭和36年。時代の流れに合わせて、視覚などに障害のある全ての人が、個人として尊重され、その人らしい自立した生活を営むことが出来るよう多様なサービスを付加しながら発展してきました。現在の京都ライトハウスは、どのような支援を行っているのでしょうか。

 

「ここに来れば大丈夫」と思ってもらうために

「視覚障害を持つ当事者が当事者のために作った施設」であり、視覚障害に悩む人たちを照らす“灯台”となるという思いを込めて名付けられた「京都ライトハウス」。地上4階、地下1階の建物で、視覚にまつわるサポートをする10の事業が運営されています。

 

「眼科相談から生活・就労支援、用具販売やカフェなど、多種多様な事業を一つの施設の中に備えています。利用者さんに『何かあったらここに来ればいい』と思ってもらうことが大切なんです。」(事務局次長・法人事務所所長 淺野保夫さん)

 

京都ライトハウスのサービスの一つの特徴は、自宅に届いた郵便物や書類などの「読み書きサービス」を予約なしで利用できること。月曜日から土曜日までの10時から16時の間ならいつでも、予約なしでボランティアの方に代読・代筆をお願いできるサービスがあるのです。「目が見えにくいと、ポストに入っているものが、チラシなのか重要な郵便物なの判別つかない場合があります。重要な書類や手紙の中身をすぐに確認したい場合に、ここでは予約が要らないので好評を得ています。宅急便の不在票でクロネコヤマトさんなど触ってわかる工夫がされているものもありますが、役所や公共サービスでも対応がされてない場合が多く、送付元だけでもわかるとよいですね。」(用具販売ご担当 横田光春さん)

 

京都ライトハウスでは、補装具である白杖(はくじょう)や、日常生活用具の点字盤をはじめ、ロービジョンの便利グッズの展示、販売がされていて、最新の拡大読書器や音声機器なども見ることができます。また、視覚支援あいあい教室は、0歳から修学前まで利用可能です。

 

中には利用する人が少ないサービスがあったとしても、「何でもあることが大事」(淺野さん)。視覚障害に悩む人たちを温かく照らす灯台として、55年続いています。(※)

 

用具は「できる自分」をサポートしてくれる

正面玄関を入って左に進むと、視覚障害の方をサポートするための用具や機器が販売されており、その人の見え方やニーズに合わせて選べるよう時計や様々な便利グッズが並べられています。

 

「例えば腕時計は、音声で時刻を知らせるものと、長針と短針を触ることで時刻を知るものがあります。音声の方はボタンを押せばいいだけなので便利なのですが、人と話しているときなどは音声が聞こえにくくなります。ですので、用途や状況に合わせて選んでいただくようにしています。」(横田さん)

 

 

用具の販売ケースには、使う人の状況に応じて選べるよう、さまざまな用具が並んでいます。スタッフに相談しながら選べるので安心です。

 

情報製作センターでは、点字図書、録音図書の製作を行っており、布につける点字、ドットテイラーも人気です。 元来は紙に印字する点字ですが、布に点字サイズのパーツを接着する「ドットテイラー」という技術が開発され点字がデザインとして使われるようになりました。 「靴下に点字があると、左右や組み合わせがわかります。機能的でオシャレに使えるというのが魅力ですね。来館者にも時々ドットテイラーに関心を持つデザイナーの方がいて、ラメで点字をプリントしたTシャツも制作されています。」(横田さん)

 

 

 

用具の大切さについて、こう話してくれました。「用具を活用することによってできなかったことができるようになり、自信につながります。それが生きる力になると思うのです。」(横田さん)

 

見えなくなっても、見えにくくなっても、生活できるスキルを身につける

京都ライトハウスでは、別館として障がい者支援施設の「鳥居寮」があります。鳥居寮では、見えない・見えにくい方が社会的自立に必要な知識や技術を習得するためのリハビリを行っており、年間80~90人の方が利用しています。

 

「中途障害の方たちは、障害を受け入れて前向きに生きていくまでに時間がかかります。始めのうちは外に出ることもできず、相談する相手も見つけられない。とにかくここに来て、変わるきっかけをつかんでもらえたらと思っています。」(鳥居寮所長 牧和義さん)

 

鳥居寮では、点字・墨字(一般の文字)の練習やパソコンの操作、料理教室や白杖を使った歩行訓練を受けることができます。「主に読み書きと歩行を獲得することで、障害を乗り越え、働いて自立することを目指してほしいのです。」(牧さん)

 

自立するためには、生活できるスキルを身につけ、積極的に社会に出て人との関係性を取り戻すことが不可欠。それができれば、自分らしく生きることができるのです。「見えないことは、決して人生を暗くするものではないのですから。」(牧さん)

 

 

京都ライトハウスから徒歩3分ほどのところにある鳥居寮。10代から80代まで、幅広い年代の方たちが利用しています。

 

<社会福祉法人 京都ライトハウス>

「京都に盲学生のための点字図書館を」という願いのもと、昭和36年に誕生。視覚などに障害のある全ての人が、個人として尊重され、その人らしい自立した生活を営むことが出来るよう積極的に取り組んでいる総合福祉施設。

http://www.kyoto-lighthouse.or.jp/ 

(※)2016年7月の取材に基づき作成しています。

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