目の見えにくい人、見えない人が安全に楽しく歩くために

 

目の見えにくい人にとって、街中を歩くことは不安や危険と背中合わせ。安全に楽しく歩くためには、どんなことに意識を向けるといいのでしょうか。学校法人杏林学園杏林大学医学部付属病院アイセンター 視覚リハビリテーションワーカーの尾形真樹先生にうかがいました。

 

早く安全に歩くための歩行訓練

目の見えにくい人の中には、自己流で白杖の使い方や歩き方をマスターする人もいます。尾形先生は、見えにくい中で試行錯誤している人たちを尊重し、「その歩き方が安全な歩き方であるという確証があるならば、自己流でもいいと思います」と言います。

 

ですが、早く効率的に歩き方をマスターしたい人には、歩行訓練をおすすめするそうです。

 

「自己流の歩き方で安全に歩けている人もいると思います。でも、安全性を担保できるかという不安もあるでしょう。自己流で歩いていた場合でも、我々が指導する方法に近い歩き方で歩いている人もいます。歩行訓練では、その人に合った歩き方、理にかなった歩き方を指導するので、早く効率的かつ安全に歩けるようになります」。

 

安全に歩くということは、確実に危険を回避するということ。その方法を指導しているのが歩行訓練なのです。

 

ちょっとした段差やスロープに注意

一般道路で注意すべきなのは、ちょっとした段差でのつまずき。特に、高齢の方はつまずいて転ぶことで骨折しやすく、そこから心身ともにダメージを受けることが多いのです。小さな段差を見分けるためには、白杖の使い方にポイントがあります。

 

「白杖の先端(石突)を常に接地して滑らせ、自分の肩幅よりやや広い幅で左右に振りながら歩きます。そうすれば、これから足を踏み出す道の情報を確実により多く入手できます」(尾形先生)。

 

周知を目的として白杖を持つ時は、単に立てるようにして持つよりも身体に対して斜めに白杖を持つようにします。

 

「自分の体に対して斜めに持つと、例え壁や電柱があっても、白杖のどこかがそれらに触れる可能性があります。障害物に気づく確率が増えるのです」。

 

また、スロープのような緩やかな傾斜は、見えにくい人にとっては平坦に見えたりすることもあり、つまずきの原因にもなって意外に歩きにくいそうです。

 

「平面だと思っていたら上りだったり下りだったりということがあります。白杖の石突を前に向けて滑らせて歩くだけでもスロープや小さな段差の発見に役立つので、結果として身を守ることにつながります。」

 

  体に対して斜めに白杖を持つようにします。

 

位置と方向の手がかりを常に意識することが大切

目が見えにくい場合、視覚以外の感覚から入手できる手がかりを使って、現在歩いている位置や進行方向を特定できることもあります。街中で頼りになる手がかりのひとつが音。車の音は、歩いている方向を確認するための手掛かりに使えます。

 

同じ方向に走っていた車が、途中で逆の方向に走っていることに気づいたら、目的の方向とは逆方向に歩いている可能性があると推測できます。

 

「車の音が、進行方向に垂直に交わる音だったら、そこは交差点の可能性があります。車の音で、信号が赤か青かの判断もできるので、重要な手がかりです」。

 

目の見えにくい人は、位置と方向を常に確認しています。どんなに歩いても、まったく違う方向だとしたら、元も子もありません。

 

「自分の体がどの方向に向いているのか、わかっていないと歩けません。音は手がかりの一例ですが、特徴的な物体、路面の傾きやざらつきの変化、もしかしたら匂いなども今歩いている場所を確認する重要な手がかりとなります。」

 

次は、誘導する側のポイントについてお伝えします。

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