目の見えにくい方と楽しむフリークライミング

見えない壁も乗り越えられる!

手と足で壁を登るフリークライミング。それを、目の見える人も見えにくい人も一緒に楽しむイベントがあると聞き、参加してきました。

 

今回参加したのは、NPO法人モンキーマジックが主催する障害や多様性理解のためのクライミングイベント「マンデーマジック」。

 

代表の小林幸一郎さん(47歳)は28歳のときに目の病気を患い、医師から「将来失明する」と告げられました。2005年に視覚障害がある方へのフリークライミング普及活動を行うモンキーマジックを立ち上げ、自身もパラクライミング選手権で優勝するなど、現役のフリークライマーとして活躍しています。

 

このイベントはクライミング初体験の人も多く、またほとんどが初対面の人たち。さて、どんなイベントになるのでしょう。ドキドキ半分、ワクワク半分でスタートです!

 

どうやって登るかはその人に任せる

「マンデーマジック」では、まず、初対面でも親しくなれるように“呼ばれたい名前”をテープに書いて背中に貼ります。そのテープは、見えない・見えにくい人が赤、聞こえない・聞こえにくい人がオレンジ、見える・聞こえる人が白と色分けされています。

 

次は、初体験者向けのレクチャー。見える人が、見えない・見えにくい人にしてはいけないことを2つ教わりました。   

 

1つは体に触れること。危ないと思って体を支えようとしがちなのですが、急に体に触れられるのは怖いことであり、いい気分はしません。

 

もう1つは、登り方を教えること。クライミングに正解はありません。ホールド(登っている人の近くにある石)をどうつかんでどう登るかは、自分で考えます。言い換えれば、自分で考えることがクライミングの醍醐味なのです。ホールドの場所を伝えるのはOKですが、「右手で上からつかんで」というように、登り方を指示してほしくはないのだそうです。そうしてしまうと、まるで目が見えている人のリモコンロボットのようです。「見えないから出来ないことは何だろう」、「どうしたらクライミングを一緒に楽しめるのだろう」、そんな視点を持ってみましょう。

 

「親切心でつい言いたくなってしまうのですが、登り方を考える楽しみはその人に任せてほしいのです」(スタッフ)。

 

見えなくてもわかるアドバイス   

初体験者向けのレクチャーでは、見えない・見えにくい人が登るときのアドバイスの仕方も教わります。登っている人の近くにどんな石(ホールド)があるかを伝えるポイントは、方向・距離・形。方向を伝えるのは、時計の針を元にした“クロックポジション”。真上なら“12時”、真横なら“3時”。「1時か1時半かとかこまかく考えずに、だいたいでいいんです」(スタッフ)とのこと。距離は、指先からひじまでの距離を基準として、“近く”か“遠く”。ホールドの形は、しっかりつかめるものは“ガバ”、細長いものは“ニョロニョロ”など、具体的にイメージできるように伝えます。  

 

 

つまり、「右手から3時の方向、近くにガバ」と言えば、見えない人も見えにくい人も、どのホールドのことを言っているのかがわかるのです。

 

初めて参加する人向けのレクチャーの様子。クライミングの基礎と、目や耳の障害がある方へのサポートについて教えてもらいます。

 

必要とするサポートが違うだけ

レクチャーが終わると、いよいよグループに分かれてクライミングスタート!

 

登り始めると、「9時!」「ガバ!」という声とともに、「ガンバ!」「ガンバレ!」という応援の声がほうぼうから上がり、会場は熱気に満たされます。隣のチームと一緒になって応援しあうこともあり、昔からの仲間のような雰囲気です。

 

聞こえない人が登るときは、レーザーポインターでホールドを指すなど、それぞれに合わせたアドバイスをします。障害のあるなしに関わらず、その人に必要なサポートをする。そんな当たり前のことに気づけたクライミング体験でした。

 

今後の「マンデーマジック」の情報はこちらからどうぞ。

背中のテープの色がさまざまなチーム編成。応援する声やアドバイスをする声が飛び交い、会場はにぎやかです(丸で囲んだ赤いテープは、見えない・見えにくいことを表しています)。

 

NPO法人モンキーマジック

「見えない壁だって、越えられる。」をコンセプトに、フリークライミングを通して、視覚障害がある方をはじめとする人々の可能性を大きく広げることを目的とし、活動しているNPO法人。2005年8月に設立。

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