未熟児網膜症(ROP)

ROP

無血管領域が残っているのが未熟児網膜症

まず、「見える」とはどういうことかについて簡単に説明します。光の情報が眼に入ると、角膜や水晶体を通って「網膜」の上に像を結びます。それが視神経を通って脳に伝わると、「見えた」となるのです。

子宮の中にいる赤ちゃんの眼は、網膜(後ろの方)から前の方に血管が伸びていきます。血管の成長は、妊娠36~40週ごろに完了します。

ですが、早産の赤ちゃんは血管の成長の途中で生まれることになるので、そこで成長が止まり、血管が成長していない部分(無血管領域)が残っている場合があります。

無血管領域がある状態で生まれた赤ちゃんは、すでに血管のある領域との境目に異常な血管が増殖してしまうことがあり、それを「未熟児網膜症」と言います。

 

重症化すると網膜剥離になることも

未熟児網膜症になると、網膜の形が変化したり、像を結ぶ働きが不十分になったりします。また重症化すると、網膜がひきはがされる「網膜剥離」が起こることもあります。

未熟児網膜症は生後8~10週で発症する場合が多く1-3、数カ月間ほど症状が続きます4。もちろん、発症しても重症化せず、視力が正常な場合もあります。

参考までに、東京都で2002年4~10月に生まれた1000g未満の赤ちゃんのうち、未熟児網膜症の割合は86.1%でした。その中で、治療が必要になった赤ちゃんは41.0%、重症化の割合は4.9%でした5

いずれにしても、早い誕生や出生時の体重がより小さいことは、未熟児網膜症の重症化と関係することがわかっています6

 

薬物治療と外科的治療がある

未熟児網膜症の治療については、「薬物治療」「レーザー治療」「外科手術」があります。

薬物治療では、麻酔をしたうえで、異常な血管の増殖を抑制する薬剤を眼球に注射します。

レーザー治療は眼にレーザーを当てて、異常な血管の増殖を防ぐ治療です。もう一つは網膜がはがれるのを防ぐ、あるいははがれた網膜を元に戻す外科手術です。

治療の有無に関係なく、未熟児網膜症と診断されたら定期的に眼科医の診察を受ける必要があります。そして、症状がおさまるまでは経過観察が必要で、家庭でもお子さんの目の変化には気をつけてください。

 

監修:

名古屋大学未来社会創造機構 特任教授

寺﨑浩子先生

 

1) Fielder AR, et al. Arch Dis Child. 1986; 61: 774-778.

2) Austeng D, et al. Arch Ophthalmol. 2010; 128: 1289-1294.

3) Kong M, et al. J Korean Med Sci. 2012; 27: 1556-1562.

4) Mintz-Hittner HA, et al. N Engl J Med. 2011; 364: 603-615.

5) 平岡美依奈, ほか. 日本眼科学会雑誌. 2004; 108: 600-605.

6) Wheatley CM, et al. Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed. 2002; 87: F78-F82.

 

未熟児網膜症に関する記事

未熟児網膜症 未熟児に起こりうる目の病気<前編>

https://www.mieru-yorokobi.com/life/retinopathy-of-prematurity-part1-/

未熟児網膜症 未熟児に起こりうる目の病気<後編>

https://www.mieru-yorokobi.com/life/retinopathy-of-prematurity-part2/