網膜静脈閉塞症にならないために知っておくこと<前編>

~高血圧は要注意信号~

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網膜の血管が詰まる「網膜静脈閉塞症」。高血圧や動脈硬化など、生活習慣病が発症リスクであることがわかっています。

 

愛知医科大学医学部眼科学講座主任教授の瓶井資弘先生に、網膜静脈閉塞症という疾患についてお話しいただきました。

 

目の中で「脳卒中」が起こっている状態

網膜静脈閉塞症は、視神経内の静脈(=本管)が詰まる網膜中心静脈閉塞症と、網膜内の静脈(=枝分かれした血管)が詰まる網膜静脈分枝閉塞症があります。瓶井先生は、患者さんが理解しやすいように、「脳卒中と同じことが目に起こっていると考えてください」と説明しているそうです。

 

詰まった場所により、見にくくなる場所や範囲も異なりますし、ゆがみやぼやけといった後遺症が残ることも多いです(脳卒中で、ろれつが回りにくくなったり、車いす・杖などの補助がないと歩きにくいといった後遺症が残るのと同じです)。

 

血管が詰まるといっても、まったく血液が流れていないケースは少ないです。

 

「水をまくゴムホースを思い浮かべてください。ホースを足で踏んでいると、水が流れにくくなったり、ホースが破れて水が飛び散ったりしますよね。あるいは、ホースの中にゴミなどがたまっていたら、水はちょろちょろとしか流れない。閉塞症の血管は、このゴムホースと同じ状態なのです」

 

高血圧が続くようだとリスクが高まる

「網膜静脈閉塞症は、目の中で脳卒中と同じようなことが起こっています」と瓶井先生が言うのは、目だけの病気と安易に考えてはいけないということを伝えるためです。

 

「これは血圧の病気です。動脈硬化・血圧が高い状態が長く続くことによって、網膜の血管が耐えられなくなり、むくみが出たり出血したりするのです。血圧を高血圧の基準とされている135mmHg(※1)を超えないようにしておくことが大切です」

 

血圧を下げて安定させることは必要ですが、それで完治するということではないそうです。

 

「ただ、治療をして回復した視力を保つためには、血圧を下げておいた方がいい。それに、いったんは症状がおさまっても、数年経って再燃することがあるので、安心することなく常に、血圧を基準値以下にしておきましょう」

 

コレステロールが高い家系の人は、高血圧や動脈硬化を起こしやすく、網膜静脈閉塞症のリスクが高いといえます。また、腎臓に疾患のある人や白血病の人、血液がドロドロになっている人も要注意です。

 

「元の体の病気を治すと、目もよくなることがあります。目と体、両方をきちんと治療しましょう」

 

風邪などのウイルス感染も引き金になる

高血圧が網膜静脈閉塞症のリスクファクターであることはまちがいありませんが、まれに、高血圧でなくても発症する人がいます。

 

「血管の炎症である血管炎にかかった場合です。血管炎の原因はわからないことが多いのですが、風邪などのウイルス感染が引き金で網膜静脈閉塞症になることはあります。高血圧でもなく、動脈硬化もない40代の患者さんで、風邪が原因と思われる方がいました」

 

後編では、具体的な自覚症状や予防など、自身でわかること・できることについてお話しいただきます。

 

※1 家庭血圧(家庭で血圧を測定する場合)の高血圧の基準。 

引用元:『高血圧治療ガイドライン2014』  

 

Dr. Kamei

瓶井 資弘(かめい もとひろ)

愛知医科大学

 

略歴

1988年 大阪大学医学部 卒業・眼科入局

1990年 国立大阪病院眼科 医員

1995年 大阪大学医学部眼科 助手

1996年 米国Cleveland Clinic, Cole眼研究所 留学

2000年 大阪大学医学部眼科 講師

2000年 京都府立医科大学眼科 講師

2002年 大阪大学医学部眼科 講師

2006年 大阪大学医学部眼科 助教授(2007年より准教授に名称変更)

2011年 大阪大学医学部付属病院 病院教授

2015年 愛知医科大学眼科 教授  

 

日本眼科学会評議員

日本網膜硝子体学会理事

日本眼循環学会理事

日本糖尿病眼学会理事

Vail Vitrectomy Meetingプログラム委員

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