視覚障害のある人とない人の異文化交流を進めたい<後編>

~名刺の点字加工活動に取り組むNPO法人 視覚障がい者支援協会 ひかりの森~

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前編に続き、NPO「ひかりの森」の取り組みを取材しました。ここには、ピアカウンセリングや名刺の点字加工の活動など、見えない・見えにくい人たちが自分らしく生きていく上で必要なプログラムがたくさんあります。

選ぶのも、実践するのも、利用者さん自身なのです。

 

同じ悩みを持つ仲間が支え合う「ピアカウンセリング」

「ひかりの森」のプログラムの一つに「ピアカウンセリング(当事者同士で行うカウンセリング)」があります。

 

ピアカウンセリングでは一人ひとりが悩み、困っていること、思いなどを出し合って学び合う場です。相手を否定せず、強制なく、もちろん守秘義務が原則です。

 

松田さんがカウンセリングの勉強をはじめたのは、自身のためだったのだそう。

 

「見えなくなったとき、社会から遮断されて孤立した気持ちになりました。それは、自分を見失うことでもあった。自殺を考えたこともありましたが、落ち込むだけ落ち込んだ後、文教大学の人間科学学科の聴講生になり、その後もカウンセリングに関する研修などに出かけました」

 

ピアカウンセリングは月に2回、グループで実施。年齢も職歴も関係なく、互いに支え合う場になっているそうです。

 

言葉が力になる、点字は文化でもある

視覚障害になって、職を失った人もたくさんいます。中途で視覚障害になった人は、そのショックからひきこもりになるケースも多く、仕事の復帰が難しいこともあります。

 

「ひかりの森」では、点字名刺の加工を請け負うことによって、利用者さんたちの生産活動を創出しています。

 

「点字名刺は12年になります。移動支援のボランティアの方の名刺に点字がついていて、『これはいい!』と思ってすぐに取り組みました」

 

 Braille Processing on Business card

 

点字加工の売り上げの約55%は、加工した本人の収入になります。障害者雇用といっても視覚障がい者は不利なのが現状。働いて収入を得る喜びを感じてもらいたいとの思いが強くあります。

 

点字は視覚障害のある方たちにとっては必須のツール。支援プログラムの一環として、点字教室も行っています。

 

「私たちにとっては、言葉が力になる。点字は私たちの言葉なんです。日本語には、ひらがな、カタカナ、漢字、そして点字もあります。文字文化としてもっと知ってもらいたいですね」

 

視覚障がい者のためにも「歩き方改革」を

見えない・見えにくい人にとって移動支援は必須。「ひかりの森」では個別支援をしています。

 

「白杖を使った歩き方は、きちんと習った方がいいです。ただの一本の棒ですが、視覚障がい者にとっては、周りの人に気づいてもらうシンボルです。リサーチ、安全確認ができる魔法の杖と言えるでしょう」

 

毎日決まったところに通勤する人は、盲導犬ユーザーになることが多いそうですが、松田さんは自分で歩くことを選択しました。

 

「わたしは犬が大好きなんですけどね、やっぱり人と一緒に歩きたいんです。あそこに新しいパン屋さんができたとか、チューリップが咲いているとか、町の様子をイメージしながら歩きたい。そのために歩行訓練を受けました」

 

そんな松田さんの最近の懸念は社会的に問題になっている「スマホ歩き」。安全だからと点字ブロックの上を歩く「スマホ歩き」の人に遭遇したこともあるそうで、「視覚障がい者にとって恐怖以外の何物でもない」と松田さんは言います。

 

社会に訴えたいことはたくさんある。でも、他人任せではいられない、と言う松田さん。自分たちで支え合い、安全を守り、自分らしく生きる。松田さんにとっての第一歩が「ひかりの森」なのです。

 

NPO法人 視覚障がい者支援協会「ひかりの森」

http://npo-hikarinomori.com/

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