緑内障を正しく知ろう<前編>

~早期発見・継続治療・希望を忘れずに~

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年齢とともに罹患のリスクが高まると言われる緑内障。失明原因のトップにも上げられるこの疾患について、たじみ岩瀬眼科の岩瀬愛子先生に教えていただきました。

正しい情報を知り、正しく恐れる

緑内障に関する疫学調査「多治見スタディ(2000~01年実施)(※1)」によると、40歳以上の20人に1人は緑内障患者であることがわかっています。また、視覚障害によって障がい者手帳を取得した人のなかでは、緑内障が原因疾患の第一位(※2)に挙げられています。このことから、「緑内障=失明」と思う人が多いようですが、岩瀬先生は、“正しい情報を知り、正しく恐れる”ことが大事だと言います。

「緑内障は高齢者の視覚障害でもトップの要因になっていますし、40歳以上で20人に1人というのも事実です。でも、緑内障になったらすべて失明するのではなく、進行してしまうと失明に至ることがあるということです。治療により多くの人が日常生活に支障のない段階にあるので、必要以上に恐れないという正しい情報を伝えたいと思っています」

近視は、緑内障の発症の危険因子と報告されています。以前はアジアに近視が多く、欧米には遠視が多いと言われていましたが、最近では欧米でも近視が増えています。さらに、2020年からの新型コロナウイルス感染拡大の影響も考慮しなければならないでしょう。

「リモートワークやリモート授業が増えて、スマートフォンやタブレット端末、パソコンに接する時間が増えましたよね。子どもたちは勉強も遊びもITなので、小学生の近視も増えてきました。近視が危険因子になる疾患は多く、近視自体も、『見える』ということについては大きな課題ですので、今後詳細な調査と対策が必要になると思います」

 

視神経が傷ついて、視野が欠ける

緑内障を発症した目の中では、何が起こっているのでしょうか。岩瀬先生によると、視神経が異常をきたしているとのことです。

「見たものの情報は、眼の奥の網膜の中で電気信号に変換され、視神経によって脳に到達することで『見える』と脳が認識するのです。網膜では見える範囲のあちこちの情報が場所ごとの束になって、一か所に集まり視神経として眼球の外に出ていきます」

Eye

「また、眼球の形を保ち眼の色々な機能がうまく働くように眼球の中には圧力(眼圧)がかかっています。眼圧は眼の中を流れる『房水(ぼうすい)』という水の循環で維持されています。水の産生が多くても、排水が少なくても眼圧が上がります」

眼圧が、その眼にとって許容範囲を超えて上がることで視神経を傷つけてしまうと、情報を伝えていた束ごとに傷つき、その束が担当していた部位の視野の情報が欠落し、視野に見えない所ができます。

「つまり視野が欠けるわけですね。眼底の中で細胞が多く集まっている黄斑(おうはん)という部位の機能が落ちなければ視力は落ちませんので、視野が欠けていても、視力は保たれている状態がおこります。緑内障は多くの場合、かなり進行しないと視力は落ちません。視力は良くても安心できません。また、緑内障と白内障を混同する人もいるようですが、似て非なる疾患です」

「白内障は、目がかすんで靄(もや)がかかったようになりますが、水晶体を手術すれば視力を回復することができます。一方、緑内障で失われた視野や視力は現在の治療では取り戻すことができません。そこが大きな違いですね」

 

危険因子は近視と加齢

緑内障にはいくつかの型があります。原因のわからない型である開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障などであり、最も多いのは前者の型です。

「房水の排出口がある隅角が、目詰まりを起こして水が流れにくくなっているのが開放隅角緑内障、隅角が狭くなったり閉塞したりして房水が流れるのを妨げているのが閉塞隅角緑内障です。これらは眼圧が高くなる原因です。ただ、眼圧は正常範囲なのに、その眼の視神経にとっては高いと思われる場合は、緑内障になることもあり、これを正常眼圧緑内障と言います」

「そして、高齢になるほどかかっている人が増えます。どの緑内障の型も、年齢とともに有病率があがりますので、発症には加齢が関係あると言えます。開放隅角緑内障に話をしぼれば、発症の危険因子は、さらに近視が報告されています。近視は遺伝要因と環境要因があります。親が近視だと子どもは近視になりやすいのですが、それ以外の環境要因も見逃せません」

後編では、緑内障の症状や治療法、また緑内障の啓発活動についてお伝えします。

 

※1 引用元:https://www.ryokunaisho.jp/general/ekigaku/tajimi.html

※2 引用元:Morizane Y. et. al., Japanese Journal of Ophthalmology; 2019, 63:26–33

 

 Iwase Profile

岩瀬愛子(いわせ あいこ)

たじみ岩瀬眼科 院長

507-0033 岐阜県多治見市本町3-101-1 クリスタルプラザ多治見4F

TEL:0572-25-1221

http://www.iwase-eye.jp/index.html

 

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