視覚障がい者のための出張型ネイルサロン<前編>

~ネイルのオシャレから、雇用につなげたい~

視覚障がい者のための出張型ネイルサロン<前編> Image

今回お話を伺うのは、目の見えない人に向けてネイルやメイクのサービスを提供している「ネイルルブライユ」代表の佐藤優子さん。前編では、立ち上げの経緯とここまでの歩みについて聞いてみました。

 

自分からは行けなくても、オシャレはしたい

貿易関係の企業に勤める会社員だった佐藤さんですが、ずっと独立して自営の仕事がしたいと思っていたそうです。「子どものころから絵が得意だったので、それを活かした仕事がいいかなって。それで思いついたのがネイリストだったんです。」

 

会社帰りにスクールに通い、1年経って会社を辞めてネイルサロンに勤務。仕事の流れを覚えていざ起業したけれど、ネイルサロンはライバルの多い業態。そこで、差別化するためのニーズを探ろうと、老人ホームにボランティアで行くことにしました。

 

「そうしたら、指一本にマニキュアを塗っただけで、ものすごく喜ばれて。高齢の方たちにこんなにオシャレの需要があったことにびっくりしました」 自分ではネイルサロンに通えないけれど、オシャレはしたい。そんな人たちへのサービスを考え始めました。

 

見えない人を対象にしようと決意

高齢の方たちにネイルのサービスをする中で、目がよく見えない方が多いことに気づきました。見えない、見えにくいから、そもそも爪を自分で切ることができないのです。

 

「爪は日に日にのびるのに、見えない方たちはなかなか思うように手入れができません。もちろん自分ではネイルのオシャレも難しい。そこで、見えない方のためのネイルサロンを立ち上げようと決めました」

 

起業計画を立て、埼玉県の起業家コンテストで2位に入賞。視覚障がい者の方たちが集まるイベントなどで積極的にサービスを提供するようになりました。

 

全盲の方にモニターになってもらい、そのネイルを見た人が「わたしにもやってほしい」とお客さんになってくれるように。こうして口コミで知られるようになって、「ネイルルブライユ」(見えない人のネイル)の活動は広がっていきました。

 

jewelry samples

 

他人の視線で自分の心の持ちようが変わる

しかし、決して順風満帆だったわけではありません。ネイリスト仲間からは「見えない人にネイルしてもしようがない」「見えないから適当でいいんじゃない」など、心ない言葉も投げかけられました。

 

「でも、全盲のモニターさんにネイルしたときに気づいたんです。彼女たちは一番オシャレしたい人達だったと。自分は見えないけれど、人からは見られている。人から『素敵ね』と言われたら自信が持てる。自分を見ている他人の反応で、心の持ちようが変わるんです。」

 

例えば結婚式に呼ばれても、見えないから、周りがどんなふうにドレスアップしてオシャレしているのかがわかりません。だから、「これなら大丈夫、というメイクとネイルをしてほしい」と言われ、ネイルとともにメイクも手がけるようになりました。

 

この後の取り組みについては、後編に続きます。

 

ネイルルブライユ https://www.tenjinail.com/

この記事をシェアする

     

この記事を評価する