視覚障がい者のための出張型ネイルサロン<後編>

~ネイルのオシャレから、雇用につなげたい~

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お客さまからのリクエストで、メイクとネイルを手がけるようになった「ネイルルブライユ」代表の佐藤優子さん。ですが、お客さまはその仕上がりを見て確認することができません。その状況で、どんなサービスを心掛けているのでしょうか。

 

技術には絶対的な自信を持つ

お客さまのほとんどが全盲の方ということで、ネイルのデザインについてどう説明をしているのか聞いてみました。

 

「予め、ネイルに合わせる服や、ネイルをして出かける用途を聞いて、サンプルを用意していきます。デザインについては、色の概念のない方もいるので、明るく華やかな感じとかシックで清楚な感じ、キリッとしたクールな感じなど、イメージで伝えます。」

 

多くリクエストされるのは、立体的なデザイン。「触ってわかるデザインを好まれる方が多く、例えば花やスワロフスキーが好まれます。」 アニメの絵を描いてほしいと言われたときは、事前に猛練習したそうです。

 

「見えない方は、第三者の目を通して自分を見ています。せっかく好きな絵を描いてもらったと思っていたのに、『何これ、ぜんぜん似てない』と言われたら自分が否定された気持ちになる。ですから、絶対に失敗はできないんです。」

 

ネイルアーティストのコンテストでの優勝経験もあり、技術には自信を持っている佐藤さん。信頼して任せてくれるお客さまたちのために、技術を磨き続けています。

 

オシャレがコミュニケーションのきっかけに

お客さまからの声として多く寄せられるのは、「ネイルやメイクをするようになって、声をかけられることが増えた」ということ。明るく話しかけやすい人という印象になるようで、駅やお店で「お手伝いしましょうか」と言われることが増えたそうです。

 

「メイクやネイルが、会話の糸口になるんですね。道案内で一緒に歩いている間、『そのネイル、きれいですね』なんて話がはずむそう。爪なら、男性も話題にしやすいみたいで。思わぬ効果でした。」 中には、好意を寄せる相手と近づけたなんていう話も。

 

「『ネイル、これ何かわかる? 触ってみて』と言って、好きな相手に触れることができたんですって(笑)」 メイクやネイルがその方の印象を明るくし、コミュニケーションのきっかけになるというのは、佐藤さんも想定外だったそうです。

 

nail samples

 

視覚障がい者の雇用を生み出すサロンに育てる

佐藤さんの今後の目標は、視覚障がい者を雇用するネイルサロンにすること。「見えない人、見えにくい人にとっては、働くことは大きな壁になっています。視覚障がい者向けの仕事はありますが、できる仕事の間口を広げたい。そのための前例を作りたいと思っています。」

 

見えない人がネイルサロンでどんな仕事をするんですか?と聞くと、すぐに答えが返ってきました。「ネイルサロンのお客さまの半分は手や爪のケアだけなんです。爪を切ったりハンドトリートメントをしたり。ネイルサロンは爪に色を塗るところと思われがちですが、サロンで爪を切るという人も増えています。方法を考えるだけで、できる仕事はたくさんありますよ。」

 

ネイルルブライユを開いてから、「よくこんなことを考えてくれたね、ありがとう」と言ってもらったことがとてもうれしかったという佐藤さん。一方、きびしい言葉で励ましてくれた人もいました。

 

「今までも同じことをやった人はたくさんいる。だから、決してあなたが特別なわけではない。でも、みんな続けられなかった。あなたはがんばって続けてください。」そう言われて、佐藤さんは意思を固めたそうです。

 

「ネイル以外でも収益を上げて、早く雇用できる体制を作りたい。それが持続可能な方法だと思うから。」湧き出るアイデアと思いの強さで、佐藤さんはこれからも走り続けます。

 

ネイルルブライユ

https://www.tenjinail.com/

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