クロネコヤマトの不在票秘話

~大切な荷物を全てのお客さまに届けるために~

日々、届けられる宅配便。受け取れないときにはポストに不在票があり、それを見て再配達の連絡をします。ところが、ポストにはさまざまな「紙」が入っています。目の見えにくい人にとって、必要な紙と不要な紙を見分けるのはとても困難。そこで宅配便大手のクロネコヤマトは、“触ってわかる不在票”に切り替えました。なぜ目のみえにくい人の不便さに気づいたのか。その背景をうかがいました。

 

ある社員の提案から始まった
今からさかのぼること19年前。ある男性社員から意見が出されました。「不在票を、目の見えない人や見えにくい人が識別できるものにしてはどうか」。実は、その社員の恋人は視覚障害者。彼女と同じ障害を持つ友人が「不在票がわからなくて荷物が受け取れなかった」と言っていたそうで、それを聞いた彼はすぐさま会社に提案したのです。

「毎日皆さんに届く宅急便は、全てのお客さまが平等に利用できるサービスでなくてはならないと思っています。障害のある方にとって利用しづらいならすぐに変えなければいけない(ヤマト運輸株式会社 広報戦略部 広報戦略課 野呂拓郎さん)。
会社として、この提案は即採用。視覚障害者にもわかる不在票に変えることが決まりました。

 

視覚障害のある方の意見も取り入れ、オリジナリティを追求   
とはいえ、どのように変えればわかりやすいのか。目の見える人たちにとっては難しい課題です。「見えないならば、触ってわかるものにしよう。」デザインの試行錯誤をしながら、実際に視覚障害のある方たちから意見を聞いたりもしました。                  
「どういう形がいいかをうかがった上で、それが弊社の宅配便であることがわかるようにと考えた結果、猫の耳の形にカットすることに決まったと聞いています」(野呂さん)
こうして新しい不在票ができたのが、1997年8月のことでした。
        

上の方の左右に切れ込みが入っています。猫の耳の形で、クロネコヤマトの不在票であることがわかります。

 

すべての人にとって有意義なサービスを                   
翌年1998年のお正月に新聞広告を打ち、そこからお客様の認知度も上がりました。「おかげで不在票を見逃さずにすみました」という、視覚障害のある方からの声もいただき、今に至っています。


「弊社のスキー宅急便やクール宅急便も、現場社員からの意見で実現したサービスです。お客様の立場で『こういうサービスがあったらいい』と考え、それを提案・実現する企業風土ができています」(野呂さん)。宅配業では、集配のときに直接お客様から要望をいただくこともあり、それも新たなサービスに活かすようにしているそうです。これからもお客様視点で、猫の耳の形の不在票のような、すべての人が利用しやすいサービスを目指していくことでしょう。         

1998年1月1日に掲載された新聞広告。インパクトがあり、多くの方に知られるところとなりました。


ヤマト運輸株式会社
http://www.kuronekoyamato.co.jp/top.html

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