感染防止対策をすれば外出できる<後編>
~withコロナ時代の同行援護サービスとは~

ソーシャルディスタンスが日常になり、これからは感染症対策なしに生活することはできません。視覚障がい者の同行援護サービスも、新しい取り組みを始めるようになりました。
感染対策をしたうえでの外出をサポート
新型コロナの終息が見えない今、「withコロナ」「コロナ後の世界」をどう過ごすかが課題になっています。同行援護の事業所otomoを運営する鈴木貴達さんは、ガイドヘルパーへの指導にも力を入れています。
「はじめのころは、感染症への過剰な不安を持つガイドもいました。ですが、例えば手が触れたからすぐに感染するというものではなく、人と触れた手で首から上を触らないとか、何かを触る前後には手を消毒するとか、そういう努力である程度防ぐことはできると説明しました。また、厚生労働省のガイドラインを皆で共有して、正しい情報を身につけられるようにしました」
同行援護は、視覚障がい者にとってなくては必須の福祉サービス。決してなくすわけにはいきません。鈴木さんは、どうしたら利用者もガイドも安全に外出できるかについて考えました。
「コロナと共存するという現状において、リスクをゼロにすることは難しい。それは、同行援護だけでなく、一般の生活でも同じことです。ですから、感染リスクをできるだけ小さくし、感染対策をしたうえでの外出をサポートすると決意しました」
同行援護を理解する人と仲間になりたい
前編でも述べましたが、コロナ禍をきっかけにガイドヘルパーを引退する人や、ガイドの仕事を減らす人が増えています。鈴木さんは、一人でも多くの方が同行援護を利用して快適な生活を営むためには、ガイドヘルパーの増員が不可欠と考えています。
「当社のガイドは平均40代の方たちなので、高齢化による引退の心配はそれほど大きくありません。ただ、コロナによって仕事を控える人たちはいますので、ガイドの人数を増やすことが急務だと思っています」
otomoではガイドヘルパー育成のスクールも開催しており、2020年の12月から再開を予定しています。ガイド経験のある人からの紹介や、利用者の紹介、またSNSを通じてガイドヘルパーに興味を持つ人々が増えてきているようです。
「増やしたいといっても、誰にでもアプローチできるかというとそうではありません。人との接触が恐いと思っている人の考えを変えることはできませんので、そうではなく、同行援護という仕事をわかってくれて、こういう仕事で人の役に立ちたいと思っている人にアプローチしたいと思っています」
鈴木さんは、同行援護に興味があって必要性を理解している人たちと仲間になり、その人たちが働きやすい形を日々模索していきたいと考えています。
サービス利用を遠慮しなくていい
「ソーシャルディスタンス」「濃厚接触」「不要不急の外出自粛」「3密」など、さまざまな言葉を生んだコロナ禍。報道などでこれらの言葉を聞くたびに、社会全体の不安感や警戒感も変わってきました。
「同行援護を利用する方の中には、『ヘルパーさんに申し訳ない』『外に連れまわして申し訳ない』という言葉を口にする方もいました。ご自身も不安だからこそ、その不安に巻き込んでしまうと思われたのでしょうね」
ですが、同行援護は福祉サービスの一環であり、利用資格のある方が遠慮する必要はありません。
「少なくとも、いやいや仕事をしているヘルパーさんはいませんし、できる範囲で仕事をしてもらっているので、利用を控えることはありません。もちろん、コロナ禍とはいえ利用が禁じられているわけでもないので、必要な時にはぜひご利用いただきたいです」
鈴木貴達(すずき たかみち) otomo/リンクス株式会社 代表取締役
東京都生まれ。2004年にリンクス株式会社を創業。2017年4月から、視覚障がい者のための同行援護サービスを提供するotomoをスタートさせる。ガイドヘルパーの資格取得のためのスクールや視覚障がい者向けのヨガクラスも運営。
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