駅のホームからの転落事故を防ぐ取り組み
~ホームドア設置や駅員による誘導強化などの取り組み~
視覚障がい者の駅ホームでの転落事故が後をたちません。
「見えるよろこび」では、国によるホームドアの設置への取り組みについてご紹介しましたが、現状はどうなっているのでしょうか。ホームドア設置数や事故件数の推移、ソフト面での取り組みの現状をまとめます。
平成29年3月末時点でのホームドア設置は686駅
平成32年度までにホームドア設置駅を約800駅とする目標が設定されたことで、平成29年3月末現在におけるホームドア整備状況は686駅となりました。 毎年、ホームドアが設置されている駅が増えてきているのがわかります。
出典:駅ホームにおける安全性向上のための検討会中間とりまとめ 転落防止設備の整備状況
出典:第7回 駅ホームにおける安全性向上のための検討 配布資料 ホームドアの整備計画
また、平成27年度には、駅ホームからの転落事故が3518件(内、視覚障害のある人の件数は94件)ありましたが、28年度には全体で2890件(同69件)に減少しています。
出典:第7回 駅ホームにおける安全性向上のための検討 配布資料 駅ホームからの転落に関する状況
事故件数が減少したとはいえ、駅ホームが見えない人、見えにくい人たちにとって安全な場所になったとはまだまだ言えません。平成28年の東京メトロ・青山一丁目駅における視覚障がい者の転落事故を踏まえて立ち上げられた「駅ホームにおける安全性向上のための検討会(以下、検討会)」は平成29年7月で第7回を迎え、さまざまな取り組みについての報告と意見交換がなされました。
ホームドアや点字ブロック整備への補助金
第7回検討会の配布資料によると、平成33年以降にはホームドア設置駅数を995駅まで増やすことを予定しています。
ホームドアの設置には費用がかかりますが、国としてはそのための補助制度を整備しており、「地域公共交通確保維持改善事業費補助金」では、駅におけるホームドアや点字ブロックの整備について、費用の3分の1を補助することになっています。
一口にホームドアといっても、駅の環境によって設置の可否や有効性が異なります。通常の横開きのものから、昇降ロープ式のものなど、駅の広さや条件によって最適なものが選ばれています。
国と鉄道事業者の連携によるソフト面の取り組み
ホームドアや点字ブロックといったハード面の整備を進める一方で、駅員による誘導強化や接遇能力の向上といったソフト面での対策も進んでいます。
鉄道事業者による事例としては、駅員による接客コンテストなどにおいて、視覚障がい者の案内に関するロールプレイングを実施したり、障がい者団体との意見交換や研修を実施するなどしています。
またホームからの転落事故防止対策として、自治体や学校と協力し、駅ボランティア活用の検討を始めたり、盲特別支援学校の最寄り駅において、登下校時に係員による見守りや案内を実施したりしています。
平成29年5月から7月の2ヶ月間には、国交省と鉄道事業者の連携により「駅ホームでの声かけ・見守り促進キャンペーン」を実施することで、駅利用者への啓発活動を行いました。
「見えるよろこび」では、今後もホームドアの設置状況や、駅ホームからの転落防止策についての進捗を追っていきます。