「見えない・見えにくい」を助けるスマートグラス<前編>
~メガネ型ウェアラブルデバイス5機種紹介~
視覚障がい者の生活を支える便利なツールの一つとして、昨今進化を遂げているスマートグラス。2019年5月現在、日本で購入できるスマートグラスの中から5機種をピックアップし、前編・後編にわたってご紹介します。
周囲にあるものも読み上げてくれる「オトングラス」
「『父(おとん)』のために『音』でサポートする」ことを目指して開発された「オトングラス」。メガネメーカー「JINS」とコラボした新機種は、メガネのツルに小型のデジタルカメラが内蔵されたアタッチメント(小型機器)を装着して本体につなぎ、インターネットに接続して使います。
メガネをかけた状態で読みたいものの方向を向き、アタッチメントのボタンを押すと撮影した内容を読み上げてくれます。クラウド上で画像の音声処理をするので、読み上げが比較的スムーズに行われるのが特徴。書類や本などの他に、周囲の掲示物も読み上げてくれるので、周りに何があるのかを把握することができます。
東京・高田馬場にある点字図書館の担当者によると、読み上げという機能に特化しているため、高齢の方にとっても使いやすいとのこと。2018年には兵庫県豊岡市で日常生活用具給付事業に認定されました。
株式会社オトングラス「オトングラス」 https://otonglass.jp/
登録した人の顔などを読み上げる「オーカムマイアイ2」
普段から使っているメガネのツルに装着して使える、AI視覚支援デバイス(小型機器)。デバイスに内蔵されている小型カメラが撮影した情報を、耳元の内蔵スピーカーから聞くことができます。
文章はもとより、物や人の情報も読み上げてくれるのが特徴。日用品や食品の商品名を登録しておけば、スーパーマーケットで商品を手に取ったときに、何の商品かがわかります。形だけでは区別のつきにくいケチャップとマヨネーズも、登録しておけば間違えることはありません。
また、人の顔も認識するので、親しい人や身近な人は登録しておくといいでしょう。物は200件、人は100件まで登録可能です。
展示会などで興味を持ち、実際に購入してみたいという方には、使い方の指導と納品は無料で行っているとのこと。担当者によると、仕事をしている方の利用が多いそうです。
オーカムテクノロジーズ「オーカムマイアイ2」 https://www.orcam.com/ja/myeye2/
暗いところで見えない方を助ける「暗所視支援眼鏡」
網膜色素変性症から発症すると言われている夜盲症。難病指定もされています。夕方や夜だけでなく、昼間でも照明がなくて暗いところでは、細かい文字だけでなく周囲にあるものも見えなくなってしまいます。
そんな方のために開発されたのが「暗所視支援眼鏡」。眼鏡の中央についた小型カメラで撮影した映像を、眼鏡の内側にあるプロジェクタに映すことで、明るく見えやすくなります。 暗くなると帰路が危ないため、仕事を早退していた夜盲症の方は、これを利用することで定時まで仕事ができるようになったといいます。
また、美術館や博物館、映画館などのエンタテインメントも楽しめるようになったとか。利用者は主に30代から60代。真っ暗なところでは使えませんが、月明かり程度の明るさがあればOKです。
株式会社HOYA「暗所視支援眼鏡」 https://hmwpj.com/
「見えない・見えにくい」を助けるスマートグラス。後編では、先端技術を利用した映像投影型の2つのスマートグラスをご紹介いたします。